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▼ダカラさん:
課題は極端に低下した自尊心の回復です。なぜ「回復」かといえば、ダカラさんにももともと充分に自尊心があったということです。あなたが生まれたばかりの頃、「積極的に人と関わることから逃げてしまいます」という感覚をはなから持っていたとしたら、お母さんにお乳を泣いてねだったり、濡れたおむつの不快感を泣いて訴えたりはしなかったはずです。このように、自らの情緒を精一杯に発揮していたということは、自分というものに一切のためらいがなかったということです。つまり自信があったということです。
しかしながら、いつしか自信をなくし、外界に引け目を感じるようになってしまいました。こういった変化は、ほとんど主たる保護者(たいてい親)との関係で発生します。生育した家庭間にしかれるルールを守ることによって、いつしか自らを否定する方法を身につけ、その積み重ねによって、自分の価値を信じることを放棄したのですね。それもまた、ダカラさんが自分を守るために身につけた能力でもあります。
自分の子供の頃振り返ってみて「何かができること」が褒められ、「できないこと」を責められ、「自分という存在そのもの」を大切にされる機会が少なかったとしたら、ダカラさんのような傾向を持ってしまうことはよくあることです。ありのままの自分を大切にされる機会が少ないと、自らもまた自分の心と身体そのものをを認める感覚を失います。
自信(自分への信頼)が低下し、自分への否定感が強くなると、どうしても人間関係に影響してきますよね。コミュニケーションのノウハウをいくら学んでも、心がついていきませんので、つまずきます。ご自分の課題に気づいていればいるほど、カウンセラーの援助を受けやすくなり、回復作業も円滑に進みます。別に病気ってわけじゃありませんから、まずはカウンセリングに行ってみたらどうでしょうか。
セミナーやワークショップの形式をとった講義とグループカウンセリングが合わさったようなものも、日本で僅少ですが、たまに開かれています。私も援助者のはしくれとして、興味のあるものは参加しますが、なにぶん時間と費用がかかりますし、それぞれのもつ課題によっては向き不向きがあると思います。
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