|
人間の記憶とは実にあいまいなものです。
こんな事件が実際アメリカでありました。
ある20代前半の女性がカウンセリングを受けているうちに、幼児期に親達から
性的虐待を受けていたという記憶がまざまざと蘇り、最初親はそれを全面的に
否定していましたが、やがて父親の方が性的虐待をしたうえに娘を何度も妊娠
させ、中絶させていたということを思い出して罪を認め服役しました。
娘と父親の性的虐待の内容は一致しました。
家族も思い出しました。
ここまでくると実際にあったことだと思うでしょう。
全て偽りの記憶でした。
娘は妊娠して中絶を繰り返していたどころか、性的交渉が全くない処女だったのです。
ではどうして娘も家族も共通の虐待内容を覚えていたのでしょう。
(覚えていたのではなく、作り出した偽の記憶が一致したのですが)
どうして一致したのでしょう。
理由は家族が同じ環境だったためです。
同じ番組を見ていたからです。
虐待の内容の一部はスターウオーズの中の殺戮の現場とそっくりだったそうです。
どうしてそんな事件が起こったのかというと、娘の方が仕事上精神的に不安定な
状態になり、医者の診察を受けました。
その医師は性的虐待にすぐ結び付けたがる性質の精神分析医でもあり、マスメディア
でも有名な権威ある精神科医でした。
その人がカウンセリングにおいてその医者に専門分野に結びつくような
誘導カウンセリングをしてしまったようなのです。
その権威ある有名な精神科医はなんでも性的虐待に結び付けたがる人でした。
その人によって誘導され、次々嘘の記憶を創り上げ、無罪の父親を刑務所に送ってしまったようです。
家族も思い出した内容の一つが家族で一緒に見たスターウオーズの1シーンだと
関連づけすることができず、虐待の現場だったと思い込んでしまったため
悲劇は助長されました。
こういった例はいくつも報告されており、突然蘇った偽の記憶戦争というのが
アメリカで社会問題になりました。
あまたを打ったために別の回路が開いて、今まで眠っていた記憶細胞にアクセス
できるようになったのか、別の回路が開いて偽の記憶を作り出しているのかは
わからないですが、思い出した記憶が自分にとってよくないものなら、あまり
拘らないほうがいいと思います。
よい記憶なら、大事にすればいいと思います。
|
|