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きくらげさん、はじめまして、こんばんは。
きくらげさんが今直面しているのは、人間が受ける中で一番苦しい試練の一つだと僕は思います。たとえば、働きながら痴呆の母親の介護を一人でしている女性が思わず「早く死んでくれたらいいのに」と思う自分にショックを受けたという話も聞きました。家族の世話というのは、場合によっては他人の世話よりももって精神的に辛いものともなります。
僕の父は3年前に医療ミスで脳をやられて、苦しんだ末に亡くなりましたが、
その間、週末ごとに帰省して朝から晩まで付きっきりで世話をしていた僕は
父が苦しいあまりに「看護婦さんを呼んできてくれ」と僕に訴えつづけても
頻繁に呼びつけることもできず呆然としていると、「おまえは冷たい人間だな」と
泣きながら言われました。とても悲しくてつらかったです。
でも、それは脳をやられた父の言葉で、まともだった時の本当の父は、自分が
苦しんでいる時ですら、ベッドの横で看病する僕を見つけると、「ずっと立っていたら疲れるだろう?座りなさい」と言いながら、昏睡状態に陥りました。
僕は、もし自分が将来、父と同じ状態になったとしたら、自分の子供に自分が苦しむ姿は見せたくないし、そのことで苦しんでほしくないと思いました。むしろ、自分のことを忘れて、楽しく日常生活を過ごしてほしいと思うでしょう。
父が息を引き取った日、僕は病院の外で、悲しいほど澄んできれいな青空を見上げながら、人は本当に辛い時は、慰めよりも、真実がほしいと思うものだなって感じました。本当の優しさとは、苦しみや悲しみが実は幻なんだよって教えてあげることではないでしょうか。肉体は滅びても、魂は永遠に生きつづける。死は幻にすぎない。そんな真実を自分の身を挺してまでも僕に教えてくれた父の優しさを僕は感じました。
きくらげさんのお父さんが求めているのは、きくらげさんの泣き顔ではなくて、
嬉しそうな笑顔だと思います。
あなたの笑顔がお父さんの幸せなんです。
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