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≪厳しい意見はご遠慮ください≫
インターネットには高い匿名性があるといわれている。
確かに捜査機関とプロバイダー等が協力すれば、匿名プロキシサーバー経由やネットカフェでの犯罪を犯した者を逮捕することも可能である。
その点では完全な匿名性はない。
それはさておき、非常に不思議に思うのは、このような掲示板系サイトにおいて、投稿者や返信者が公表した「身分」によって、同じ内容の意見であっても重んじられたり軽んじられたりすることである。
私もつい最近、とある資格試験対策系の掲示板で非常に不愉快な思いをした。
私はその試験の1次試験には受かったが、2次試験には落ちた。
そこで2次試験不合格者であることを明かしながら、そこで他の受験生に対してアドバイスを行っていた。
そして、それは、つい最近まで平穏に続いていた。
ところが、私がとある投稿者の記事に対して反論する内容の投稿をしたら、「2次試験落ちのくせに」「受かってもいないくせに」という旨の書き込みが相次いだ。
私は「たとえ2次試験落ちであろうが自分の意見を述べる権利はあるはずだ」との旨反論したが、全く聞き入れられず、今までのアドバイスも2次で落ちたくせに書き込んで邪魔だったとか、あるいはお前には一生合格は無理だとの、煽り文句が続いた。
しかも文体や句読点の使い方まで指摘され、文体を見たら人格がダメなことがわかるとの旨まで言われた。
後日、私はHNを変えて、今度は合格者であると偽って、同じようなアドバイスを書き込んでみた。するとどうだろうか。今度は同意され、感心され、感謝されるのである。相手には私を煽っていた人たちもいた。
文体を見れば人格がわかると豪語していた人も、なぜか私の文章に感心していた。
実に不思議である。
また、他の人生相談系サイトで、「13歳のハローワーク」をもじったHNをつけた人がアドバイスをしていたが、何故か叩かれた。それは、彼(彼女かもしれないが便宜上・・・)が13歳のくせに、大人に向かってアドバイスをするのは生意気だ、あるいは不愉快だということであった。
13歳ではないとしても、そのHNが腹が立つのだそうである。
他、各所を見ていると、どうもネットで公表した身分があだになって、内容は見ずして、身分で罵倒したり感動したりする事例がけっこうあるようである。
冒頭にも書いたが、ネットには匿名性がある。
相手がHN通りの人物だとは限らない。
しかしそれによって意見の価値を変えてしまうのだから不思議だ。
私が行った実験では、むしろ責められるべきなのは、嘘をついた「合格者」としての書き込みである。
それなのに正直に明かした「2次試験不合格者」としての書き込みの方が責められた。
非常に不思議である。
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